インタビュー:NEM開発者 武宮 誠氏

公開日時: 2016/01/11 PM12:00 JST

 

今回のインタビューは、ビットコイン2.0プロジェクトであるNEM(New Economy Movement)のコア開発者の1人の武宮誠氏。国内のプライベート・ブロックチェーンであるmijinを提供するテックビューロ社ではチーフ・ブロックチェーン・オフィサー(CBO)も務めた(2015年12月で退職)。東京大学博士課程に在籍しながらブロックチェーンのプロジェクトに多く携わってきた。

 

NEMは、新しいエコシステム(循環システム)構築を目指す

 

編:ビットコインのブロックチェーンとNEMのブロックチェーンの違いはなんでしょう?

 

武:そもそもビットコインのエコシステムの課題を解消し、全く新しいエコシステムを構築するためにNEM (New Economy Movement)が開発されました。違いはたくさんありますが、最も重要なのはコンセンサス・アルゴリズムです。ビットコインはプルーフ・オブ・ワーク(PoW、Proof-of-Work)といって、取引の承認作業を多く行うことが重要視されますが、NEMはプルーフ・オブ・インポータンス(PoI、Proof-of-Importance)といい、システム内での経済活動の貢献度が重要視されます。

 

「お金持ちがさらに豊かになる流れ」を変えるシステムを

 

武:重要な点は、NEMのシステムでは経済活動の貢献度と通貨の保有量は無関係であることです。これは、「お金持ちがよりお金持ちになる」という循環を変えられる可能性を意味します。

 

ユーザーの重要度の高さを測るための計算式は複雑なので簡単にご紹介するにとどめますが、計算式に含まれるのは取引履歴や残高、レピュテ―ション(信用)などで(図1)、この計算の結果貢献度が高いユーザー(重要度が高いユーザー)により多くの通貨が支払われます。NEMのシステムの中でビットコインにあたる仮想通貨はXEMといいます。その重要度は図2のようなグラフに表すことができます。大きな点になっている人ほど重要度が高いことになります。

 

このシステムはこれまでのどのシステムよりも平等であることを目指しています。NEMの通貨であるXEMは、ボラティリティがとても小さい点も強みです。

 

ブロックチェーン利用に向いている領域は

 

編:12月に野村総研と住信SBIネット銀行が提携してブロックチェーンの実証実験を行うことを発表しました。NEMとmijinを併用して評価・実証を行うとリリースにありましたが、武宮さんはブロックチェーン技術はどのような用途に向いていると思いますか?

 

武:ファイルサイズが小さく、かつ非常に重要なデータを扱うにはブロックチェーンが最適だと思います。お金の取引データなどがその良い例ですね。ですから、一番向いているのはやはり金融です。他にも、物流にも向いていると思っています。

 

実は、どこの国かは明かせませんがいくつかの中央銀行もブロックチェーンの技術に非常に関心が高く、話をする機会が増えています。個人的にも、ブロックチェーンは政府のシステムに役立つ技術であると思います。

 

編:2015年は日本の銀行としては初めて住信SBIネット銀行がブロックチェーン実証実験を行うことが決まり、Mijinが国内の企業との提携を発表したりと目覚ましい動きをした一年でしたが2016年以降もNEMとMijinの動向から目が離せませんね。ありがとうございます!

 

NEMのHP

http://nem.io/

 

NRI、住信SBIネット銀行のオープンイノベーションを支援

https://www.nri.com/jp/news/2015/151216_1.aspx