森・濱田松本法律事務所 堀弁護士に聞く「仮想通貨法成立」

公開日時: 2016/06/15 PM2:30 JST

interview

平成28年5月25日、金融庁が仮想通貨やフィンテック関連の法整備を目的として国会に提出していた「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律案」が衆参両院の審議を経て成立した。

 

具体的にはどのようなものが「仮想通貨」として新しい法案の下で規制されることになるのだろうか? 森・濱田松本法律事務所の堀 天子(ほり たかね)弁護士にわかりやすく教えていただいた。

堀氏は資金決済法の策定等に関与した後、2014年から金融審議会専門委員に参加し、政治・行政や各団体のフィンテックへの取り組みに造詣が深い。昨年からは一般社団法人Fin Tech協会理事に就任している。

 

どこからどこまでが仮想通貨?

 

「仮想通貨」は次の要件を満たすものと定義される(資金決済法2条5項及び6項)。

 

①物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができるもの(これと相互に交換を行うことができるものも含む)で、②電子的に記録された財産的価値で、電子情報処理組織を用いて移転することができるものであり、③法定通貨建で表示され、又は法定通貨をもって債務の履行等が行われる通貨建資産には該当しないもの

 

Q:いまある仮想通貨は大体この定義にあてはまりますか?

 

堀弁護士(以下、堀):現在仮想通貨交換所で日本円、米ドル、人民元などの法定通貨と取引されているビットコイン、ライトコイン、ド-ジコインや、イーサ、リップル(XRP)、またビットコインと相互に交換できるカウンターパーティコインなどは上の①②③の要件に該当するので仮想通貨と定義されると考えられます。

 

 

Q:電子マネーやゲーム内通貨、ポイントなどは何にあたるのでしょう?

 

堀:使用可能な店舗等が特定の加盟店等に限られ、これらを交換する不特定の者が存在しない場合には、①の要件を欠くため「仮想通貨」には該当しません。

 

 

ただ前払型の電子マネーやゲーム内通貨などの一部は「前払式支払手段」に該当する場合があり、資金決済法第2章の下で規制されます。SuicaやPASMO、nanacoなどはこの前払式支払手段です。

 

定義としては、発行者が存在し、発行者が対価を得て発行し、発行者または加盟店で物品購入または役務の提供を受ける際に対価の弁済として利用できるものや、また発行者等に物品の給付または役務提供を請求できるものは前払式支払手段とみなされ、使用範囲に応じて届出か登録が必要とされています。

 

Q:要件③に該当しないとされる具体的なものはなんでしょう?

 

堀:例えば円やドル、また国債、地方債、預金通貨、企業が発行する債券などは、デジタルではあっても法定通貨を意味するもの、または法定通貨建ての資産であり、そういったものについては③の要件から見て仮想通貨にはあたりません。

 

 

Q:ビットコインは通貨と認定されたということでしょうか?

 

堀:通貨とされるのは日本円など強制通用力を持つものです。いま仮想通貨には、そうした強制力はありません。また、将来的にもし仮想通貨に消費税がかからなくなったとしても、それは通貨と認定されたということを意味するものではありません。

 

 

ただし今回の法案では仮想通貨は不特定の者に対して使用等ができることを要件とし、これは一種の通貨的な機能を持つ財産的価値を意味しています。

 

例えば個人や企業が電子的に記録され、電子情報処理組織を用いて移転できる「モノ」を配布することも可能ですが、不特定の者との間で取引が行われていないうちは仮想通貨の定義には該当しません。ところが、その後に「モノ」の財産的価値を誰かが承認するようになり、不特定の者との間で取引が開始された場合には、後から仮想通貨の定義に該当することもあり得るということになります。

 

 

Q:発行時には仮想通貨に該当しなくても、後で仮想通貨となる可能性もあるということですね?

 

堀:電子マネーやポイントのように、発行する時点から性質が決定され、規制対象となるかどうかが決定されるものと比べて、仮想通貨は、それが出現した時点で必ずしも性質が決定されていないという意味で興味深い定義になっています。

 

具体的には個々の商品やサービスで判断されていくことになりますが、仮想通貨に該当するかどうかは一定の判断事例の集積が待たれます。

 

Q:法案成立後の流れはどうなるのでしょう?

 

堀:改正法は1年以内に施行されるので、これに向けて事業者の登録準備や自主規制団体である事業者協会の認定準備などが進められます。おそらく2017年4月頃には法律が施行され、その後一定期間は経過措置が取られることとなります。

 

編集部:来年から法案が施行されると個々の事例にどのような判断が生まれてくるのかが注目されますね。今は「不特定のものが交換しない」、仮想通貨にあてはまらない状態のものでも、ゆくゆく普及すると仮想通貨となる可能性もあるという部分がとても興味深いです。堀先生、ありがとうございました!

 

 

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