2016年上半期の仮想通貨・ブロックチェーンを振り返る

公開日時: 2016/07/11 PM3:30 JST

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早いもので2016年も折り返し地点を通過し7月になった。

 

去年の秋ごろからFintechという言葉が盛り上がりはじめ、今年になっても継続して金融やIT企業がブロックチェーンの実証実験を行っている。ビットコインに関しても、これまでのイメージを払しょくし革新的な通貨としての一面に注目されつつある。ここでたくさんの出来事があった2016年前半を振り返ってみたい。

 

ビットコイン

 

年が明けたころのビットコインコミュニティの話題はスケーリング問題で持ち切りだった。

 

ビットコインの取引が増えるにつれて技術面での対応を必要とする時期が迫っているのだが、その対処方法を巡ってコア派とクラシック派に意見が割れ、どのような策を選択すべきか、ビットコインのネットワークにはどのような影響が及ぼされるのかといった話題がオンライン上、香港での会合、サトシ・ラウンドテーブルなどでビットコイン界のキーパーソンが集まり慎重に何度も議論が重ねられた。しまいにはテクノロジーではなく政治的な問題にまで発展し、1月にはコア開発者だったマイク・ハーンが「ビットコインは失敗に終わった」と発言しチームを去ったり、3月にCoinbase社のブライアン・アームストロング氏が2月26日~28日行われたサトシ・ラウンドテーブルに参加した後に失望したとのネガティブな発言をしてビットコインの価格にも大きな影響を及ぼした場面もあった。

 

ビットコインのコミュニティまで真二つに割れてしまう勢いだったが、Segwit(セグウィット)と呼ばれる技術が現実的になってきたところからこのコアVSクラシックの議論は落ち着いた。4月にプルリクエストというステップまで到達した際には問題解決への期待も大きくなり、現在もビットコインコア開発チームがSegwitの実装に向けて着々と作業を進めている。

 

 

そんな中、4月28日には仮想通貨に関する法案衆議院審議で可決のニュースも舞い込んだ。仮想通貨法案などと呼ばれることもあるが、厳密には「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律案」というフィンテックや仮想通貨の関連法案を議論する法案だ。5月末には参議院も通過し、法案が成立している。詳細は次の記事を参考にしていただきたい:森・濱田松本法律事務所 堀弁護士に聞く「仮想通貨法成立」

 

5月のはじめのゴールデンウィーク中にはオーストラリア人男性のクレイグ・ライト氏が「私がサトシ・ナカモトだ」と名乗りをあげ、ビットコインのコミュニティを困惑させることになる。彼は昨年末にもWIREDとギズモードによって彼がサトシ・ナカモトではないかと報道されたが、結局違うだろうと議論は終わっていたからだ。だが、今回は業界では有名な元ビットコインコア開発者のギャビン・アンドレセン氏まで彼がサトシだと発言するなど、コミュニティを巻き込んでの大事となった。恐らく彼単独ではサトシ・ナカモトではないが、クレイグ氏がサトシ・ナカモトに関与している可能性はあるのかもしれない。

 

ゴールデンウィークが明け、5月も終盤に差し掛かると待っていたのは「半減期相場」だ。半減期とは4年に一度のマイニング報酬が半減する時の事で、これまで25BTCだったマイニングの報酬額が12.5BTCに半減する。ビットコインの新規供給量が半減するため、ビットコインの市場価値はそれに伴い上昇すると期待されており特に中国のトレーダーが半減期を狙って投資したことも手伝ってか価格は一時8万円台まで上昇することとなった。半減期は7月10日の午前1時46 分ごろに世界中のビットコイナーに見守られながら迎えられた。次の半減期は4年後の2020年だ。

 

イーサリアム
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イーサリアムは第2ステージであるホームステッドのニュースが大きく話題になった。円周率の日(3月14日)にリリースされたのもつい3カ月前の話だ。これまではフロンティアといって安全性などの面で改善され大きな前進となった。これと同時にイーサリアムのプラットフォーム内通貨であるイーサ(ETH)の価格も上昇した。

 

もうひとつイーサリアム関連での大きな出来事はThe DAOだ。イーサリアムのプラットフォーム上に作られた分散型投資ファンドのような仕組みのでドイツのスタートアップSlock.itが開発したものだ。クラウドセールで約150億円分のETHを調達し、仮想通貨業界最大の資金調達と大きく脚光を浴びたにも関わらず、わずか1カ月後にコードの脆弱性をつかれて資金が流出してしまうという事件が起きてしまった。Slock.itの過失によって起きたThe DAOの事件だが、解決にはイーサリアム側の対応が必要なためどのような対策が取られるべきか議論されている。

 

ブロックチェーン

 

ビットコインの誕生と共に生まれたブロックチェーンも引き続き金融機関などからの注目を集めている。日本ではブロックチェーン推進協会(BCCC)、日本ブロックチェーン協会(JBA)といった団体がブロックチェーンに関連する取り組みを行っている。また世界の大手銀行が共同でブロックチェーン活用のための研究・実験を行うR3コンソーシアムやLinux Foundationが行うHyperledgerプロジェクトのこれからの動向にも注目だ。

 

国内の金融機関では三菱東京UFJがブロックチェーンを利用したMUFGコインの発行に向けて取り組んでいたり、みずほフィナンシャルグループと日本取引所が共同で実証実験を行っていたりする。また、日本銀行はフィンテックセンターを設立しており、副総裁のブロックチェーンに対する前向きな発言もある。他にも、マイクロソフトIBMインフォテリアなど様々な企業でブロックチェーンに関する研究が進められている。

 

世界各国の動き

アメリカ  :大統領候補ヒラリー・クリントン氏がブロックチェーンの支持を約束

カナダ   :カナダの中央銀行、独自のデジタル通貨の発行へ

イギリス  :イギリスの中央銀行、フィンテックのアクセレレータプログラムを開始

スイス   :スイスで公共料金の支払いにビットコインが使えるように

フィンランド:フィンランドの都市がブロックチェーンによる配送サービスをテスト

オランダ  :オランダ中央銀行がブロックチェーンを使った暗号通貨のプロトタイプを開発中

韓国    :韓国中央銀行がブロックチェーン技術への取り組みを示唆

中国    :中国の中央銀行、独自のデジタル通貨作成を検討

 

 

2016年前半コインポータルでよく読まれた記事

 

1位:インタビュー:NEM開発者 武宮  誠氏

2位:ビットコイン女子座談会:ミス・ビットコイン 藤本真衣さん

3位:ゴールドマンサックスが挙げるブロックチェーン5つの実用例 ~AirBnBから株式市場まで~

4位:ジョージア政府、ブロックチェーンを活用した土地改革

5位:注目のビットコインウォレット、breadwallet

 

その他の話題
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仮想通貨なのに実物?サトリコインローンチ

早稲田大学、ビットコインクラブ設立

書籍:中央銀行が終わる日

書籍:ブロックチェーンの衝撃

 

編集部のつぶやき

 

あっという間に過ぎた6カ月だったが、振り変えればビットコインだけをとっても非常に色々な出来事があった。激しく価格が変動するビットコインやイーサは投資の面から注目されることが多い。しかしスケーラビリティの問題やThe DAO事件等、新たな課題に直面した時に仮想通貨のコミュニティがどのような策を考え出し、どのような意思決定を下すのか、また仮想通貨を活用して私たちの日常にどのようなイノベーションが起こせるのかなど、見どころはたくさんある。

 

Ethereumのこれからやビットコインがスケールするための技術の発展など、今年の後半も注目すべきニュースが目白押しだ。ビットコインの手数料が今よりもさらに安くなったり取引が速くできるようになれば、その上にはより便利なアプリケーションが構築されることになるだろう。仮想通貨に関する法案の成立など仮想通貨を受け入れる環境が整ってきた中で、これからどんなニュースが出てくるのかが楽しみだ。