WASEDA-EDGE 人材育成プログラム:スタートアップの最前線「仮想通貨編」

公開日時: 2016/08/08 AM6:30 JST

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7月30日、早稲田大学で文部科学省 グローバルアントレプレナー育成促進事業(EDGEプログラム)の一環であるWASEDA-EDGE 人材育成プログラムとWaseda Bitcoin Club共催の「テクノロジースタートアップの最前線 仮想通貨編」が開かれた。

 

休日夜からのイベントだったが会場は多数の参加者で賑わい、テクノロジースタートアップや仮想通貨技術への関心が高まっていることを感じた。参加者の過半数は早稲田大学ビジネススクールからのようだったが、暗号理論や数学、テクノロジーを専攻する学生の姿もあった。また、ビットコインを買ったことがある人も複数いた。

 

 

仮想通貨のスタートアップとして登壇したのはビットコイン取引・販売所などを手掛けるbitFlyer代表取締役の加納裕三氏と、同CFOの金光 碧氏。bitFlyerは総額約30億円とフィンテック領域ではかなり大きな規模の資金調達に成功している。また、加納氏は一般社団法人日本ブロックチェーン協会(JBA)の代表理事として国内のビットコイン普及にも力を入れている。

 

講演では加納氏が仮想通貨に注目することになったきっかけや現在のビジネスについて、ビットコインの仕組みの簡単な説明、また来年から施行される予定の法規制の同行などについてプレゼンが行われた。参加者からの質問に答えるQ&Aのコーナーもあった。

 

 

加納氏がビットコインに注目したのは2013年11月のバ―ナンキ前FRB議長のビットコインに対する声明文だった。この声明文では仮想通貨のリスク要因に触れながらも「長期的な可能性を持つ分野」(原文では、“may hold long-term promise”)と書かれていて、声明が発表された直後ビットコインの価格は一時1,000ドルを越える急騰を見せた。

 

この声明が発表された2カ月後にベンチャーを始めることを決めた加納氏は、2014年にbitFlyerを設立。取引・販売所をリリース後、ビットコイン・クラウドファンディングのサービスやポイント交換サイトでのビットコインへの交換サービスなど取り組みを進めてきた。

 

海外での資金調達も試みてきた加納氏は、シリコンバレーで出資先を確保するまでの経験を紹介しながら「資金調達は国内、海外問わずシビアなものですが、海外の資金調達ができたということはグローバルな企業を目指す上でよいことだったと思っています」と振り返る。

 

 

また金光氏はbitFlyerの事業内容やサービスなどを説明しながらフィンテック事業者としての立ち位置、意義などについて解説し、ビットコイン・ブロックチェーンの技術を「既存の金融機関とは得意分野が異なる。新しい産業/雇用の創出、既存産業の効率化につながる技術」と紹介した。

 

両氏のプレゼンの後のQ&Aのコーナーでは、早稲田大学大学院商学研究科の岩村 充教授も参加しながら参加者からの質問に答えた。「起業するにあたって大切なことはなにか」「資金調達の際の苦労は」など起業に興味のある参加者からの質問に、加納氏と金光氏はそれぞれ丁寧に答えた。

 

岩村教授はビットコイン技術のセキュリティについて学生からの質問に「基本的にはコンピューターとコンピューターが交信するためのプロトコルそのものであって、プログラムとは性質がことなるから破壊という概念にはそまないと思ってみてください」と例えた。

 

また、ブロックチェーンの可能性について「セキュリティなどの面で見れば従来の暗号通貨でも対応できる部分があるのに、必要性なくブロックチェーンを利用とするプロジェクトも多くなってきているのではないか。中央集権的な管理に戻る動きも起こるのではないか」という質問に対して岩村教授は、「ブロックチェーンの面白い点はP2Pで共有できることで、中央集権的な管理の仕組みでは余計な利害が中央にどうしても寄ってくるところがある。一度中央集権型でない管理ができるとわかったなら流れがそちらに向くのが自然ではないか」と意見を述べていた。

 

最後に岩村氏は、ブロックチェーン技術理解の難解さなども踏まえた上で「パイオニアしかいないものは大きな社会の流れにならない。マネをする人が増えることは大きな流れに乗っている証でもある。専門的な知識を持つ人材ももちろん必要だが、そうではない人も意志があればぜひ、自分のできることを考えながら大きな流れを作る一員となってみてください」とまとめた。