ショートインタビュー:Vitalik Buterin氏「イーサリアムをユーザーに届けるために」

公開日時: 2016/09/21 PM6:20 JST

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上海で3日間に渡って行われているEthereum Devon2は、イーサリアムの考案者でチーフ・サイエンティストのVitalik Buterin氏をはじめ現在開発に携わる多くのメンバーが出席している。

 

ブレイクタイムには休憩スペースでお茶や軽食を取りながら開発メンバーと参加者がそこかしこで交流しているというオープンな空気。そこで、通りかかったVitalikにいくつか質問してみたところ気軽に応じてくれた。

 

今、一番フォーカスしていること

 

「イーサリアム・プラットフォームをユーザーに届けるというゴールのために努力するのが自分の仕事です。そのためには、目下プラットフォームのセキュリティー面や安定性を向上させる必要があると思っています。

 

例えばプルーフ・オブ・ステークの採用は電気の節約になるという社会的なインセンティブにもつながるし、システムの安定性にも貢献するのではと見ています。セキュリティー面の向上という点ではプログラミングがセキュアかどうかを確認するための「Solgraph」を利用することや、Ethereum Devによる形式検証などの取り組みが2日目にいくつか紹介されていました。他にも、スケ―ラビリティやストレージの活用法などの課題に取り組んでいます」

 

システムをどのように運営するか

 

「システムの運営については、いくつかコントラバーシャルなポイントがあると思います。イーサリアムのプロトコルをユーザーが利用できるようになる(ユーザーが分散型アプリケーションやスマートコントラクトなどの機能を実現できる)というゴールからぶれないこと、ただしユーザーが安全にこのプラットフォームを利用できる状態を保つことの二つを達成する必要があります。決断には慎重さが求められますが、もし将来的にETHがもっと普及した場合、セキュリティーの上で何かしらの形での(分散型ではない)管理も考慮する必要が出てくるのかもしれません」

 

イーサリアムは2016年9月時点ではβ版の状態で、正式なリリースへ向けて取り組んでいる。今年6月にイーサリアム・プラットフォームを利用したプロジェクトのひとつであるThe DAOがプログラムの脆弱性をつかれて大量のETHを盗まれるという事件が起こり、セキュリティーをどのように守るかというトピックは今回のDEVCONでも大きなテーマのひとつとなった。

 

このThe DAO事件の解決策として、イーサリアムは盗まれた資金を取り戻すための修正をチェーンに施すためにハードフォークを決行したがこれは苦渋の選択だった。結果としてイーサリアムの内部通貨であるETHは、ハードフォーク前のチェーンを支持するETC(イーサリアム クラシック)と、修正を施したチェーンを支持するETH(イーサリアム、今回のイーサリアム DEVCON2の主催側)とに分裂することになった。今回のDEVCON2の参加者の中にはごくごく少数ながらイーサリアム クラシック派であることを公言する人もいて、セッションを聞いていた。

 

最後に、Dappsなどの取り組みの中で注目しているもの、力をいれているものがあるか聞いてみたところ「個々のプロジェクトというよりは、自分の仕事はイーサリアムのプラットフォームをいかに整備していくかということです。イーサリアムのプロトコルが誰の手にも届くものにすることをゴールにして、そのためのテクノロジーの向上に注力していきます」と答えが返ってきた。