厳格なビットコイン規制の中、タイの銀行がブロックチェーンサービスの開発へ

公開日時: 2016/11/12 PM3:30 JST

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タイのメガバンク、Hyperledgerを利用したサービス開発へ

 

タイの主要な銀行の一つで、第4位の資産を保有するKasikornbank Pcl.がIBMと合意を結び、Linux Foundation主導のHyperledgerを用いたブロックチェーンサービスの開発を行う。同国の銀行でブロックチェーン技術を用いたサービスを開発するのは初めて。Hyperledgerとは、分散型台帳のための重要な機能と業界を越えたオープンスタンダートを特定することによって、ブロックチェーン技術を進歩させようとするコンソーシアムである。

 

先週バンコクで開催された共同記者会見において、IBMタイランドのマネージングディレクターであるParnsiree Amatayakul氏と、Kasikornbank Technology Groupの副議長であるSomkid Jiranuntarat氏はこのブロックチェーンサービスが2017年の前半に利用可能となると発表した。

 

この発表で列挙されたサービスの利点は、文書の正確性の向上、標準化、リスクの軽減、より迅速な認証そして様々な銀行システムのためのセキュリティの強化だ。Jiranuntarat氏によると、同行はまたその他の主要なタイの銀行とブロックチェーンネットワークをシェアする議論を行っているとのことだ。

 

タイの金融イノベーションを主導してきたKbank

 

創立71年になるKasikornbankはしばしばKbankと呼ばれ、小売り、商用、貸出においてタイ国内第4位の銀行である。同行は昨年1,120の支店、9,349のATM、159の外貨交換ブースを運営している。同行はまた、1973年に初めてクレジットカードサービスの提供を行っており、タイにおける金融イノベーションを主導してきた。4月にKbankは同行が新しいフィンテックプロジェクトのためにおよそ1億4,300万ドルに相当する50億バーツの投資を行っていることを明らかにした。

 

タイの中央銀行がフィンテック促進のために実験環境を提供

 

タイの中央銀行(BOT)は今フィンテックを促進しており、企業が革新的な製品、サービス、ビジネスモデルおよびデリバリーをテストすることのできる新しい実験環境を立ち上げている。この実験環境は銀行、フィンテック開発者および技術企業のために設計されており、革新的な貸し出し、支払い、送金サービスなどの開発へ向けて十分な資本と人的資源を備えている。スタートアップ企業のような、資金獲得に困っているベンチャー企業は、この実験環境に参加する前にインキュベータープログラムに参加してスポンサーを獲得することが奨励されている。ビジネススタートアップや企業家たちは、この実験環境に対してほぼ1カ月に一度意見交換する機会が与えられている。

 

「もしこの実験環境の製品とサービスが便利で安全かつ消費者を保護することができるなら、同国中央銀行は、これらの製品とサービスを用いてKYC(顧客熟知)ルールを調整することを考慮するだろう。」 と、タイの中央銀行の金融機関アプリケーション部門のシニアディレクターVireka Suntapuntu氏は話している。

 

文書サプライチェーンサービスを目指して進む「OriginCert」

 

KbankとIBMによるジョイントベンチャーはいくつかの目的のためにこのHyperkedgerを利用している。時刻を記録することによってブロックチェーン上の元の文書を証明する方法としてKbankはHyperledgerを初めて利用している。このプラットフォームはOriginCertと名付けられており、初めは保証書の証明および発行プロセスの高速化のために使用されると説明されている。そこには認可の仕組みも含まれ、互いに文書のセキュリティを読み書きする権限を与えることによって、単純に打刻を行うアプリケーションというよりも、文書サプライチェーンサービスに近いものにしようとしている。このAPIは加盟商業銀行や政府組織のような機関にも拡張される。

 

OriginCertのチームは、この実験環境が始まるのを待つ間、シンガポールにあるIBMのBluemix Garageネットワークを使用している。IBMはHyperledgerの創設メンバーだ。このプライベートかつ認可制のブロックチェーンは暗号通貨は持っておらず、フィアット通貨の取引を含む様々な用途に使われる。

 

ビットコインの法的状態には疑問符

 

一方で、タイにおけるビットコインの法的な状態は良好とはいえず、暗号通貨についてはトラブルは避けられない。現在のタイ国政府は銀行優位だった以前の憲法と法律を変更しているが、暗号通貨に対しての非肯定的な状況は依然として変化がない。

 

2013年の7月、タイで初めての大きなビットコイン交換所であるBitcoin Thailandがタイ中央銀行の宣言を受けて1ヶ月で操業を停止し、同国におけるあらゆるビットコインの使用が違法となった。国際的な報道機関がタイにおいてビットコインが違法となったことを報道したが、実際には同国中央銀行には法律を制定する権力は無く予備的なルールを制定することしかできていない。そのルールの内容は、『既存の法律が無いが故にビットコインの使用は違法である』というものだ。

 

政府に対してライセンスを請願した後、Bitcoin Thailandはサービスを再開し、慎重に操業を行っている。現在では競合も現れてきており、バンコクではビットコインATMも見られるようになっている。

 

しかし、軍事革命の後、ほとんどすべての既存の法律が塗り替えられた。軍事政権が同国を支配しており、メディアとインターネットは政府によってコントロールされている状態で、『より簡単に非協力的な情報のモニタリングや傍受を行う』ためにグレートファイヤーウォールを導入する計画であることが昨年発表されている。