2016年、ビットコインのテクノロジー関連の話題を振り返る

公開日時: 2016/12/15 AM10:50 JST

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2016年のビットコイン関連のテクノロジーの話題は、ビットコインのトランザクション処理能力をどのように高めるかというところに集中した。これはどのような問題なのか? ビットコインを使う人にとって、どんな影響があるのか? ビットコイン価格には関係するのか? 初心者の方向けに、テクノロジー関連の話題を知るために抑えておくべきキーワードを挙げながら簡単にまとめてみた。

 

今直面する最も大きな課題、ビットコインの取引処理能力をめぐる「スケ―ラビリティ―問題」

 

現在ビットコインが処理できる取引データの上限は、10分間に1MBだ。トランザクション処理速度にしておよそ3件/秒といわれ、1秒間に数万件もの処理が可能といわれるVISAカードなど既存の電子決済システムと大きな開きがある。ビットコインの取引数は増加の一途をたどっているため、早晩トランザクション処理能力が追い付かなくなり、普及の妨げとなることが懸念されている。これが、ビットコインの「スケ―ラビリティー問題」と呼ばれるものだ。

 

トランザクションの処理が追い付かないと、ユーザーにとっては「送金がなかなか完了しない」「送金手数料が高くなる」といった問題が生じる。たとえば数十円~100円程度のビットコインを送るのにかかる送金手数料が、2016年4月には5円程だったのに対し、本稿を作成している2016年12月現在では13円程かかっている(編集部調べ)。現在、10分あたりで処理できるデータのサイズが上限の1MBに迫ってきている影響で、この半年余りで手数料もずいぶん変わっているのだ。

 

(出典:blockchain.info)

 

揺れる解決策――データ圧縮を提案する「Segwit」派と、処理可能なデータ数拡大を求める派

 

このスケ―ラビリティー問題の解決策として、ビットコインの公式クライアントソフトウェアであるビットコイン・コア(Bitcoin Core)の開発チームは取引のデータ量を圧縮するSegwitという施策を提案している。これに対して、10分間に処理できるデータ数を1MBよりも大きく引き上げることを支持する流れもある。ビットコイン・クラシック(Bitcoin Classic)やビットコイン・アンリミテッド(Bitcoin Unlimited)などのクライアントを支持する側だ。

 

本稿作成時点で、Segwitは来年のアクティベートへ向けてビットコイン・ネットワーク全体の合意を待っている状態だ。Segwitへの合意は、マイニングを行う人々がソフトウェアをBitcoin Coreの最新版0.13.1に更新することで表明される。Segwitのアクティベートには来年11月までに全体の95%の合意が必要だが、現時点(2016年12月)のネットワーク全体の状況をBitnodesで確認すると、0.13.1に更新しているのは全体の38.42%である。viaBTCという大手のマイニングプールがクライアントソフトウェアをBitcoin Unlimitedに切り変えたことで、Unlimitedの占める割合が増大した。

 

ビットコインの利便性を高める「ライトニング・ネットワーク」実行にはSegwitが必要

 

Segwitはこちらの記事にもあるように電子署名に関するデータを別に管理することでデータ量を圧縮する施策だが、ビットコイン・コアの開発者やその支持者がアクティベートを待つ理由は他にもある。ビットコインの普及において重要視されるライトニング・ネットワークという仕組みを導入するには、まずはSegwitのアクティベートが必要となるからだ。ライトニング・ネットワークについてはこちらの記事を参照していただきたい。ビットコインのトランザクションのデータサイズを大きく減らすことで、手数料の低下や送金時間の減少が期待できるとみられている。他にも、Segwitはトランザクション・マリアビリティ(取引に固有の識別IDを第三者が書き換えできてしまうこと)というビットコインの問題の解決にも重要な役割を果たすと言われている。Segwitを待ち望む声にはいろいろな理由があるということだ。

 

2016年の問題解決へ向けた歩み

 

スケーリング問題の解決へ向けて、2016年には開発者や関連企業の役員、マイニング作業を行うマイナーなどビットコインに関わる主要な人物達が集まる場がいくつか設けられた。3月に行われたサトシ・ラウンドテーブルや7月のカリフォルニアでの会合、10月にミラノで開かれたスケーリング・ビットコインなどだ。また、ビットコインのマイナーの多くを占める中国のマイナーの集まりも11月に開催され、こちらではマイナーの利益にとってブロックサイズ拡大とSegwitのどちらがよいかといった議論がなされた。

 

2017年には1月23日~26日にサトシ・ラウンドテーブルが開催される予定で、ここでどのような話し合いがなされるかが目下注目される。また、こうしたイベントの際にコミュニティーの要人が発言するとビットコイン価格に影響することもある。例としては2016年3月に行われたサトシ・ラウンドテーブルの参加者がビットコインの今後に不安感を示す発言をした後で、ビットコイン価格は一時下落した。

 

ここでご紹介したビットコインの技術面に関する話題は、ビットコインのネットワークの今後にダイレクトに関わる部分であるため、新しい情報がポジティブなものと捉えられるかネガティブなものと捉えられるかでビットコインの価格にも影響してくる。

 

2017年にSegwitはアクティベートされるのか、スケ―ラビリティーの問題はどちらの方向へ向かうのか、動向に注目したい。

 

 

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