ConsenSys、2017年のブロックチェーン予測を公開

公開日時: 2017/01/01 AM8:30 JST

670x300_media_tec

イーサリアム基盤のプラットフォームを提供するConsenSysのグローバル事業開発者アンドリュー・キース氏が、2017年のイーサリアムやブロックチェーン関連の動向について予測を公開した。

 

キース氏は今年初めにも2016年の予測を公開しており、今回の2017年度版について「専門的なアドバイスではなく、あくまで年末年始シーズンのちょっとしたスパイスとして読んでみてほしい」と前置きしながら全部で17個の予測を掲げている。下に、それぞれの項目をかいつまんでご紹介したい。

 

「仲介業の減少化へ」

 

ブロックチェーンの概念が徐々に一般の人に普及することで、社会的、金融的、政治的なシステムの中の「仲介人」の役割を果たす業種をブロックチェーンで代替する動きが本格的に起こるという予想。ブロックチェーンがトラストレスな取引を実現すると「お互いの信頼のためにいくら支払うべきか?」という概念が変わってくるだろう、とキース氏。

 

「実証実験から一歩先の取り組みが始まる」

 

2016年にはブロックチェーンの実証実験が数多く行われたが、2017年にはそうした実証実験を踏まえた商品化の創生期を迎えるだろうとキース氏は見る。

 

「DAppsがイーサリアムのメインネットで自由にローミングできるように」

 

DApps(分散型アプリケーション)がイーサリアムの環境の中で利用できるようになり、イーサリアムを利用するとどんなことができるのか、具体的な例をたくさん見られるようになるだろうという予測。

 

「uPortがアイデンティティの自己管理を実現する」

 

uPortというイーサリアム基盤の身分証明システムなど自分のID情報を自分で管理するためのアイテムが2017年に登場することで、アイデンティティを政府や企業任せでなく自分で管理できるようになるという予測。アイデンティティの自己管理は、ConsenSysが注力するテーマでもある。

 

「スケーラビリティの問題は引き続き大きな課題に」

 

より多くのトランザクション処理能力を持つ必要性に迫られてビットコインのネットワークが現在進行形で取り組んでいるスケ―ラビリティ問題は2017年も課題となるだろうとキース氏。イーサリアムではプルーフ・オブ・ステイク(保有するコインの量で発言権が変わる)というコンセンサスアルゴリズムの採用など複数の方法でこの課題に取り組む構えであることを発表している。

 

「プライバシーの統合へ向けた取り組みが進む」

 

認可制プライベートチェーン環境ではBlockAppsなどの取り組みで参加企業が実証実験をワンクリックでクラウド環境に拡張できるようになり、またイーサリアムではプライベートな金融取引を行えるよう再構築が行われている。各レイヤーのプライバシーの問題が統合へ向けて動き出していくだろう、という予測。

 

「セキュリティが一層強化される」

 

2016年に起こったThe DAOのハッキング事件の経験から、スマートコントラクトのセキュリティ向上の目的で実践モデルや監査への取り組みが積極的に行われている。IC3、マイクロソフトなどが研究を始めており、セキュリティが強化されるとキース氏は見ている。

 

「PoW以外のコンセンサスアルゴリズムが流行し始める」

 

ビットコインの合意形成アルゴリズムはプルーフ・オブ・ワーク(PoW)だが、2017年にはそれ以外のアルゴリズムも流行し始めるという予測。イーサリアムも2017年にプルーフ・オブ・ステイクという別のタイプのアルゴリズムを採用すべく動いている。

 

「失敗や統合などが起こり始める」

 

90年代初めのイントラネットでCompuserve、AOL、Prodigyなどがなくなったように、短期的視点で見れば2017年にはブロックチェーン関連の事業に期待通りの効果が見られないとみた企業や参加者達の失敗や統合などが起こることになるだろうという予測。

 

「新しい規制環境の幕が開ける」

 

アメリカでは規制当局とCoinbase、Coin Center、ConsenSys、Union Square Venturesが協力して次世代の資産のトークン化に向けて取り組んでいる。こうした取り組みにより、あらたな規制環境の幕が開けるとキース氏は見ている。

 

「イーサリアムの開発ツールの改良がすすみ、ソフトウェアの開発速度が指数関数的に増加する」

 

分散型ウェブと既存のブラウザを結ぶMetaMaskや、銀行業、決済、保険、サプライチェーンなどへのイーサリアム基盤のブロックチェーン・インフラ・ソリューションであるBlockApps、また開発者がスマートコントラクトや分散型アプリを開発するためのツールであるTruffleなどイーサリアム関連の開発ツールの充実と共に、2017年の開発速度が急速に進むだろうという予測。

 

「世界のエネルギー市場が分散化し、そのやりとりはブロックチェーンを利用したピア・トゥー・ピアの形になってゆく」

 

2016年にエネルギーの抽出、伝達、貯蔵、利用などの技術進化を目の当たりにすることとなった。技術進化の加速につれピア・ツー・ピアとの相互作用に焦点を当てた新しいビジネスモデルが生まれ、ブロックチェーン技術の利用が進むだろうとキース氏。またイーサリアムは次世代型スマートグリッド技術開発に取り組んでいるようだ。

 

「製薬、金融、公共部門、鉱業探査、小売業などの業界のサプライチェーンはブロックチェーンの取り組みを進めることに」

 

次世代のデジタル資産は言及した領域から、デジタル署名とハッシュによってデータのトランザクションの安全性を保つだろうという予測。

 

「政府によるブロックチェーンの取り組みも進む」

 

2016年に引き続き政府によるブロックチェーンの取り組みは続けられ、中央銀行、サプライチェーン、土地登記所、IDシステム、投票プロセスなどの領域で試みられるだろうとキース氏は見る。

 

「マイクロソフトは、現在のブルーチップ技術関連企業の間のブロックチェーンスペースでその影響力を継続する」

 

Microsoft Azureの環境は個人から企業の開発者に至るまで、ブロックチェーン開発のサンドボックスを提供した。また2016年、イーサリアムのスマートコントラクト用プログラミング言語SolidityをVisual Studioに追加した。現在マイクロソフトではEthereumを使用してMicrosoft Officeにブロックチェーンの資産を追加するか、もしくはMicrosoft EdgeブラウザにMetaMaskをプレインストールされた拡張機能として追加する可能性がある。こうした積極的な取り組みで、マイクロソフトが影響力を続けるだろうという予測。

 

「インドと中国がブロックチェーン開発や製品化、資本投入などに乗り出し、アジアが力を見せてくる」

 

テクニカルサポートとシステム・インテグレーションで世界的に有名なインドから、イーサリアムのプログラミング言語Solidityの専門家が数多く現われるのではないかとキース氏は見ている。また中国のスマートシティ・プロジェクトや銀行の内部アプリケーションなどからブロックチェーン技術に貢献するものが現われるのではないかと予測する。

 

「イーサリアムは2017年も”Move fast and break things”の精神で動く」

 

Facebookのモットーのひとつに「素早く動いて、破壊しろ(”Move fast and break things”)」というものがある。これは素早いアクションはより多く、より早く学べるという信条から来るもので「もし何も壊せないのならば素早さが足りないからだ」とまでいわれているという。2016年はイーサリアム関連のプロジェクトがハッキングの被害を受けたことでハードフォークを遂行するなどいくつかの事件があった。これを美化するものではないが、キース氏は2016年にイーサリアムはより鍛えられ成長したと振り返る。

 

キース氏は、ConsenSysチームはビットコインが好きだし先行者として感謝しているが、2017年はイーサリアムがプラットフォームとしての性格がより明らかになり、ビットコインとは性質の異なるものだと証明できる年になるだろうとしている。

 

Andrew Keys’ 2017 Blockchain Predictions

https://media.consensys.net/2017-blockchain-predictions-dcc38066a937#.5l2p8by3n

参照サイト

メディア名:ConsenSys Media

URL:https://media.consensys.net/2017-blockchain-predictions-dcc38066a937#.5l2p8by3n