ビットコイン入門

第1回:ビットコインとは何か? ~ビットコインが注目される2つの理由~

■ビットコインとは「暗号通貨」のひとつ

日本でビットコインが大きな話題となったのは2014年3月。世界的な大手取引所だった「マウント・ゴックス」の経営破綻が明るみに出てからだ。新聞の一面を突然飾るようになったビットコイン。ところが、その解説を読んでも、「ブロックチェーン? マイニング? 秘密鍵と公開鍵?」と耳慣れない単語が多く、謎が深まるばかりだった人が多いのでは。

でも、心配はいらない。財布に入っている1万円札について、どこで印刷され、どうやって偽造を防止しているかを知らなくても使えているように、ビットコインでも大切なのは仕組みよりも使い方や使われ方を理解する事だ。

もちろん、ビットコインの裏側の仕組みもとても興味深いが、まずはどうやって使われているか、そして、なぜこれだけの注目を集めているのかを抑えておくことが先決だ。

■「ビットコイン経済圏」が広がっている

ビットコインは日本円や米ドルのような今、世界で流通している法定通貨(Fiat Currency)とは性質が大きく異なる。発行主体となる中央銀行が存在しないし、発行総量はあらかじめ決められている。「ビットコインが通貨かどうか」と議論もあるが、必要とする人がいて、供給する人がいる事によって、世界では決済手段としての利用が加速しつつある。

アメリカではマイクロソフトやペイパル、デル、エクスペディアなどeコマース大手が続々と決済手段として採用を始めており、ビットコインで食事が可能なお店だってある。

銀行ATMなどのインフラがまだまだ整っていない国では出稼ぎ労働者が送金手段として利用する需要もあるようだ。

それだけ多くの人が送金や支払い手段としてビットコインの便利さ=送金コストの安さ、決済の迅速さを評価していることになる。ナスダックがビットコインの仕組みを未公開株の取引に応用する試みを始めるなど、ビットコイン経済圏は社会の表側で、裏側で着実に広がっているのだ。

■投資手段としてチャンスを見出す人が増えている

こうした実用性とともに、もうひとつ注目されるのが投資先としての一面だ。日本円や米ドルと同じようにビットコインは市場で取引され、その価値は刻々と変化している。2013年初には10ドルほどだったビットコインの価値は’13年末、1000ドルを超えるほどに急騰した。

米ドルやユーロをはるかにしのぐビットコインの値動きの大きさにデイトレードのチャンスを見つける人もいるし、将来的な発展性に期待して中長期でバイ&ホールドする人もいる。

実用性の面では世界に後れを取っている日本だが、「投機先としてのビットコイン」が先行する形でビットコイン取引所の整備が進んでおり、投資/投機手段としての環境は整いつつある。

■投機と実需の2つがけん引するビットコイン

「決済手段としての実需があるからビットコインが値上がりし、値上がりするから投機筋が買ってさらに上昇する」と見ることもできるし、「投機筋が取引してビットコイン経済圏が安定するから企業は安心して決済手段として採用できる」と見ることもできる。

鶏と卵の議論にも似ているが、実用性と投機性の2つの側面が競り合いながら、ビットコインの世界は今も着実に広がっているのだ。

>>第2回:ビットコインはいつ生まれ、誰が育てたのか?

著者について 高城泰:投資ライター。個人投資家への取材をライフワークとし、FX(外国為替証拠金取引)や株式投資などの分野で書籍の構成などを数多く行なう。近年では投資先のひとつとしてビットコインに着目。ビットコイントレーダーへの取材を進めている。著書にビットコインなど暗号通貨について解説した『ヤバイお金』(扶桑社)がある。

※この記事は2015年8月に公開されたものです。