ビットコイン入門

第10回:ビットコインを取引するのは誰か

■大きな存在感を示す中国人プレイヤー

 

前回の記事で見たように、ビットコインを実際の生活で利用しようとしてもまだ物足りないのが現状だ。ところが、ビットコインの出来高は拡大を続けている。一体誰がビットコインを取引しているのだろうか?

ビットコイン市場でもっとも大きな存在感を示しているのは中国人だ。取引所の出来高を見ると、世界の取引所の出来高を見るとドル建てでは1日数万ビットコイン程度だが、人民元建てだと100万コインを超える日も少なくない。

■中国政府の規制がビットコイン高騰のきっかけに?

中国人がここまでビットコインに血道をあげる背景には、政府による資本流出規制の厳しさが大きな要因としてありそうだ。とくに2015年8月の上海株市場急落以降、中国政府は規制を強めている。中国人観光客が日本で爆買いするツールとなっていた銀聯カードへの規制もそのひとつ。それまで1日1万人民元だった銀聯カードによる海外での現金引き出しを、10月からは年間10万人民元へと大幅に引き下げた。

そうなると「銀聯が使えないならなら、ビットコインで」と考える中国人が増えたとしても不思議はないだろう。ビットコイン価格の値動きを見ても、規制後に急騰を始めている。

■投機目的の「アービトラージ」も目立つ

ビットコインを投機の手段とするトレーダーも少なくない。彼らの多くが好むのは「アービトラージ」と呼ばれるサヤ取り取引だ。ビットコイン市場には多くの価格差が存在する。2つの取引所を見比べてみても、ビットコインの価格が異なることに気がつくだろう。こうした価格差から利益を抜いていくのがアービトラージだ。わずかな価格差を利用して取引を頻繁に繰り返すため、アービトラージは出来高を増加させやすい。

また、ビットコインのETFも登場しようとしている。ビットコインの旗振り役として、あるいはアイデアを盗用されたとしてフェイスブック創業者を訴えたことでも知られるウィンクルボス兄弟はビットコインETFの組成を進めている。今後はこうした機関投資家の存在も目立つようになるかもしれない。

■参加者の増加とともに値動きは穏やかに

 

もちろん長期的な値上がりに期待してビットコインを購入する人もいるし、決済のために取引所を利用する人もいるだろう。ビットコイン市場はさまざまな人のさまざまな思惑を巻き込んで拡大しようとしている。現在はかなり荒っぽい値動きをしているが、参加者の拡大とともに穏やかな値動きへと変わってくるはずだ。

>>最終回:ビットコインを政府はどう考えているのか

著者について 高城泰:投資ライター。個人投資家への取材をライフワークとし、FX(外国為替証拠金取引)や株式投資などの分野で書籍の構成などを数多く行なう。近年では投資先のひとつとしてビットコインに着目。ビットコイントレーダーへの取材を進めている。著書にビットコインなど暗号通貨について解説した『ヤバイお金』(扶桑社)がある。

※この記事は2016年1月に公開されたものです。